1947年の夏、池のほとりで過ごした時間を思い出す主人公による語り。池の周辺で出会う人々のこと、引っ越しを繰り返していた”わたし”が過ごした子供時代のこと、そして街を離れることになった事件について時系列を組み替えるように話が進みます。とはいえわたしがブローティガン作品に持っていたイメージであるところの断片的な挿話が続くというわけではなく、冒頭から最後までかなり一本の背骨が入った物語になっていてとても読みやすい。
ビールを飲んでばかりの夜警、廃材でつくった家で暮らす怖いおじいさん、池の畔にトラックに積んだ家具一式を持ち込んでは釣りをしている中年夫婦、葬式に関心を持っていたわたし、”わたし”といることになんとか耐えていた母、そして銃弾。こういった子供時代のことについて大人(中年)になった”わたし”が書いている。そしてあの夏から32年がたった今、彼ら記憶のなかにいる子どもの頃に出会った人物たちを思い出しながらそのことを書き留めていくとき、私自身は彼らから見えないところに立ってしまう。そのことについてすごく直球に書かれているので、少し面食らうところもある。そしてどうしても直前に読んだ『リチャード・ブローティガン』で読んだ著者自身のことをひきつけてしまう内容ではあり、あった。おもしろかったです。
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