『ツィゴイネルワイゼン』をみた。館内案内でのツィゴイネルワイゼンの発音を聞いて、ツィゴイネルワイゼンってツィゴイネルワイゼンって発音するんだ……ってなった。よかったです。内田百閒のサラサーテの盤らを原作にした映画。冒頭からサラサーテによるツィゴイネルワイゼンの演奏が録音されたSP盤が映る。33回転でも45回転でもない早さで回っていて、これが78回転のSP盤か~ってぼんやり思った。この録音に吹き込まれたサラサーテ自身の、聞き取れない音声が流れる。
わたしは内田百閒の本を何冊か持っていて、最初に『冥土・旅順入城式』を読み始めて怖くてやめてしまった過去がある。阿保列車は1作目読んで面白~となったので、先のは幻想文学とホラーのあわいあたりでぎりぎりホラーと受け取ってしまったんだと思う。泉鏡花とかを読んでいた頃に同じくくりで買った記憶があります。
そんな原作があるんですが、特に終盤、本編中でも中砂邸での演出はちょっとすごかった。全体を通してアフレコであてられた音声の効果音がかなり限定されているために静寂な場面が多くあり、しかもここで終わり……?と思ったらまだ続くような冗長な感じもあるのでイビキも聞こえてきたりするんですが、画面をみせるというところではかなり強かった気がする。何かつくりものの感じが逆にぎりぎり笑いと怖さとの線上にあるんだよな。実際に隣の席にいたおじいさんは何度か声出して笑ってた。
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