動くな、死ね、蘇れ!/ひとりで生きる

ヴィターリー・カネフスキー特集上映のうち2本。舞台であるソ連時代の極東の炭鉱町スーチャンでは街中に喧騒、盗みや暴力があふれており、そのなかでいつも悪態をつき、学校ではトイレにイースト菌を流し込んで汚物を溢れさせたりと悪童ぶりを見せているワレルカ。一方でその危機にはいつも現れて救いの手を差し出してくれる幼馴染のガリーヤの、二人の子供時代を描いた映画が前者で、学校を退学して故郷を離れて暮らすワレルカのもとにガーリヤの妹ワーリャが訪ねてくる映画が後者。どちらもとてもよかった。

がなり声で歌われる民謡、飼っている豚の解体、ワレルカの起こした事件といった一つ一つの場面が迫力のある画面で映っている一方で、その前後の場面は静かなあるいは笑顔が漏れるような場面で、いつもその落差がある。そしてそれらの場面のつながりはかなり独特で、「盗みのために裸で窓から忍び込む」→「服を着た状態で住民に見つかる」→「殺人」→「車で逃げる」→「警官に手を引かれる」→「海岸を走って逃げる」といった、文字にすると一連の出来事が短時間で切り替わっていくように思えるんですが、それらが本当に一連の出来事なのか、みているとどうやら恐らくそうではなくて、一定の歳月で隔てられたものである気がしてくるような場面の繋げ方がされています。さらには1作目のラストや2作目の冒頭には監督自身による指示「カメラは彼女を追え!」だったりも収録されていて映画全体のフィクション性が高められると同時に映っている映像の迫真性も高まるような不思議な感覚がある。こんな映画があるんだ……っていう凄みがあった。

残しておきたいこととしては、『ひとりで生きる』のなかで画面正面のワーリャの目の前をワレルカが離れていく(ソフィアを追いかけて去っていく)場面です。バブーシュカを頭に被り、腰より少し高い正面の位置にあるポケットに両手を入れて、じっとした目で正面を睨めるワーリャの姿が少し長めに映される場面がすごく良かった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA