シンプル・アクシデント

『シンプル・アクシデント』をみました。よかった……。イランのジャファル・パナヒ監督作です。

偶然の事故をきっかけにして過去に不当逮捕及び拷問を受けた際の審問官を偶然に見つけた男が、その人物を生き埋めにする段階で本人という確証が持てなくなり、同様の境遇だった人物を周りながら、眠らせて箱に詰めた男の処遇を巡って右往左往する話。

語られる凄惨な拷問のエピソードと道中どこかユーモラスな間合いの寒暖差で変な顔になってしまう。「彼はすぐにキレるから」って言われた男が画面の遠景に映った瞬間、すでに激烈にキレてるのが見えたときギャグ過ぎる!となりましたが、いや、でも背景がね……という冷静な気持ちもあるんだよな。ほかにも警備員の登場するタイミングが絶妙でふふっとなったのと同時に、直後の賄賂請求や病院での医療費の支払いを誰のクレジットカードを使うかみたいな逡巡をさらっと入れてくるのもうまい。悪に対する復讐と善意と個人の幸福とを詰め込んで、こんな映画になるんだというすごさがありました。

監督作と言えば、数年前の『熊は、いない』が作中に映画監督として自身を登場させながら撮ることと/の暴力、政治を強く意識した作品になっていてすごくおもしろいんですが、今作はより洗練されている気がします。

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