ウェンディは仕事を求め、愛犬ルーシーを連れて車でアラスカを目指していたが、途中のオレゴンで車が故障し足止めされてしまう。ルーシーのドッグフードも底をつき、旅費を少しでも残しておこうと考えたウェンディはスーパーマーケットで万引きをする。店員に見つかって警察に連行されたウェンディは、長時間の勾留の末にようやく釈放されるが、店の外に繋いでおいたルーシーの姿は消えていた。野宿を続けながら必死にルーシーを探すウェンディだったが……。映画.com
特集上映の際にタイミング悪くみられなくて、今回の配信が初めてです。アラスカを目指して旅をするウェンディの、オレゴンでの数日を描いたものです。なのでロードムービーというわけでもないんですが、ここに描かれる社会自体に明確な悪がないにも関わらず、みていてつらい。金銭、食事、住居、先の見えないなかで、生来ひとの良さそうなウェンディが過ごすオレゴンでの身の置けなさ。車もルーシーさえも見失ってからの、林の中で一晩を越すことになるとき、樹のあいだから線路を眺める景色が、それでも街なかより居心地の良さを一瞬みせた気がするのはわたしが社会を苦手に思いすぎているからかもしれない。映画の最後、アラスカに向けて旅立つウェンディが、状況は悪くても少しでも地に足の付いた目的を持ったという意味でそれが希望のひとつになるなら良いなと思った。何度か劇中で登場する「上手くいくといいね」という言葉が、なげやりじゃなくてそれぞれのできる精一杯なんだよなと思う。いい言葉だよな。
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