雑居ビルにある風俗店の事務所を舞台に、店の中での人間関係や、それぞれの人生背景を切り取った映画です。このなかで一人、世話係というか事務を担当しているカノウが周りと少し違う引いた位置、他の登場人物の諸々を受け止める役でありながら、登場人物として当事者でもあるようなちょっとだけ特殊な立ち位置になっていました。
それぞれの事情を聞かされても「いやぁ・・・」とか「それ言われても・・・」としか返さない(返せない)状況の中で、(自分のためにも)他者を気遣いつつやっていく姿が終盤においてどうしても他とズレてきてしまうというか、あまりに第三者的というか、言ってみれば一人だけここで恋愛の話題にいること自体が(本来深い浅いではないものの、おそらく意図的に)浅い立ち位置にみえてしまうようになってるのはうまかったな。それでもカノウ自身も前に進むしかないっていう結び。それこそもっとドキュメンタリー調のものかとおもっていたので、なんというかこの押し付けがましさのなさが好感の持てる映画でした。
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