(Various Artists)The Unknown 10

1990年にイギリスでリリースされたオブスキュアバンドのコンピレーションです。オブスキュア、この単語のパワー……ついひかれてしまいますね。ジャンルよりも同時代性にこだわったのか、当時のバンドがジャンルを越えてパンクからエクスペリメンタルまで並んでいます。そしてタイトルの通りそのシリーズ10作目にあたる今作ですが、Discogsをみていると『The Unknown14』までは存在するようです。どこまで続いていたのかは謎。そしてわたしは今作でこのシリーズを知って、それから出品者が出るたびに今でも少しずつ揃えているところです。
本当にまったく知らないしリリース作品もほぼないバンドがスッと(おっ良いじゃん!)って感じの曲を放り込んでいたりするんですよね。90年代初頭のイギリスやドイツのバンドで、わたしは大好きだけど繋がりの見いだせなかった謎バンドたちがこのシリーズだと1本にまとめられていたりして、ミッシングリンクを見出したような気持ちにさせてくれます。やっぱりこういうコンピが一番いいんですよね。
今作を知ったきっかけは収録バンドに”This Side Of Summer”という名前のイギリスのグループが含まれていることからでした。そしてこのバンド名、”This Side Of Summer”と同じ名前の楽曲を、同じくイギリスの”The Sect”というバンドが1993年にリリースをしていて、その曲が本当にめちゃくちゃ良いんですよね。その『This Side Of Summer』(The Sect)のレコードはわたしが海外からの購入をはじめたきっかけでもあります。当時もう国内だと買えないと思ったので……。このThe Sectのリリースが1993年で、その名曲とバンド名がたまたま同じだったのか、あるいは何か繋がりがあったのかというお話です。
今回のコンピに収録バンドの方の”This Side Of Summer”の音源は単独作がカセットテープで1本、それと今作を含めたコンピが2本しかないみたいです。そして単独作のリリースが1989年で”The Sect”よりも数年早い。そうなると「名曲から名前を取りました!」とはならないはずで、わたしが勝手に関連を見出した可能性が高い。
ただ一つ、Discogsに登録のあるこの単独作のプロデューサーがMarty Tuff氏とのことで、この方を追いかけると両バンドよりもやや早い80年代中盤頃から同じくイギリスで同様のジャンル、”Stupids”でギターをやっているんだよな。おっ同じ界隈でやっている人物が登場してきました。そして肝心の”This Side Of Summer”の楽曲ですが、このコンピには2曲収録されていて、女声ボーカルの楽曲で、これも盛り上がりきらないUKらしいメロディーがやっぱり”The Sect”界隈を彷彿とさせるんだよな~ってなる。とても良いです。
とはいえ”This Side Of Summer”と”Stupids”がイギリスのイプスウィッチ、”The Sect”がウェスト・ミッドランズの出身です。離れているしやっぱり関係なさそうですね。謎は謎のままです。

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