アルクニアン大帝国の厳しい人生のなかでも最も過酷な運命、一般人として生まれた君には権利も肩書きもない。自ら運命をつかみ取り、ブランテ家の遺産を引き継ぐ正当な継承者になるためには、凝り固まったしきたりと偏見に真正面から取り組む必要がある。誕生から真の死に至るまで生涯の旅に出かけ、大変動に耐えて逆境に立ち向かい、難しい選択をしなければならない。決断の1つ1つは主人公とその家族、そして大切な人に影響するだけではなく、帝国の基盤自体をくつがえすことになるかもしれない。Steam
昨日の寝る前、『The Life and Suffering of Sir Brante』をクリアしました。おもしろすぎる……。身分差の強烈な社会で下級貴族の次男として生まれた主人公の生涯を追う物語です。
主に貴族、聖職者、平民の3つの身分(あとは”人間”を超越した身分として王族を含むアルクニア人がいる)から成る本作の社会では、各身分に即したロット(ふるまい、それぞれ「支配」「解釈」「服従」)が求められており、それにより主人公の家族内でさえ、前妻(上級貴族)と父の子である兄、後妻(平民)の連れ子である姉、そして下級貴族である父の子である主人公の間にも家族という枠とは別の重い枷がはめられています。そしてプレイヤーは主人公の選択によってその幼少期から成人後までの人生、そして家族や社会の趨勢が決まっていく流れを文章で追いかけていくことになるんですが、そんな世界で、平民に寄り添い、家庭内の平和を願いながらプレイをしているとすぐにあちらを立てればこちらが立たず、本意にない選択をせざるを得ない場面がでてくることになるんだよな。設定のバランスが絶妙で、なんで家族内の問題でこんなに精神を削られるんだっていうくらい家族と社会の接続関係がうまい。
この社会でのふるまい(選択)とその結果には理不尽なものも多くあれど、それを飲み込ませられるくらい、このゲームの世界観は強烈であると同時に強固な印象です。だからこそそれが(特に中盤にかけては)プレイヤーの選択にかなりロールプレイ要素を求めてくるというか、この社会でわたし(主人公)はこう振る舞う、っていう行動をさせられることになります。そして荒波にもみくちゃにされることになる。例えばわたしは母の命を救う選択をした結果、それまで評判も富も順調に進んできた人生がドミノ倒しのように崩れて、あれよあれよという間に没落した結果チャプターエンディングにすらたどり着けず、上級貴族による処刑を受けることになったりした。
そして終盤になると、やはりこの社会で何かを守りながら生きていくためには二枚舌、見殺し、それに手を汚すことを選択するしかないんだとなる。これに気づく(飲み込む)とまたゲームが一層面白くなって、要するに自分の倫理観以上に各パラメータや社会での立場を意識して振る舞うことになるんですが、それがこの世界で大人になるということなんだよな。
設定についてもおもしろくて、例えばこの世界での死は「3回までは軽い死で復活ができる。4回目に真の死が訪れる」というものなんですが、だからこそ事件に巻き込まれて死んだ際にも死に際に犯人を確認できる場合があるし、あるいは嗜虐的な上官(上級貴族)から執拗に決闘を挑まれてなぶり殺されることもある。これっておもしろいか?おもしろい。
最終的に平民側の立場、貴族の立場それぞれで都市を平定して終わるグッドエンディングと、虐殺に加担するエンディング、あとは主人公がいくつかの場面で真の死を迎えるエンディングをみました。毎晩があっという間にすぎており、寝不足で頭が痛い。
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