羅小黒戦記

 

 

 

羅小黒戦記オリジナル版は以前に今回とは違うシアターでやってて、当時視聴を逃していたので今回の吹替版が初めての視聴です。自然と人間みたいな対立軸の作品だと思いこんでちょっと手を出していなかったところがあって、もちろんそういうテイストもあるんですけどやっぱり作中で何度も使われる”共存”をテーマにした作品でした。

シャオヘイとムゲンの旅がめちゃくちゃ良いんだよな。反発するシャオヘイがムゲンと不本意ながら旅をするはじまりが、大海原の小さな筏っていうのがめちゃくちゃ好みで、ここだけでかなりぐっとくる。いや、中国を舞台にして山林でなくて大海原を旅することある?デカすぎる(これはミームとしてのデカイではなく、大陸だけでなく海も使うことに対する表現です)。特に何かがあったわけでもないけど距離が近づいていく、ドラマチックじゃないけどうまいみせ方がすごく良かったです。

 

” 共存”については、たとえフーシーがやろうとしたことが独善的に館のオルタナティブをつくろうとしたことだったとしても、それが完全に挫かれたのはけっこう寂しかったな。逆張りオタクはみんながいる館ではなく自分の領界をつくりたがるものなので、フーシーたちのこともう少し報われてほしかったなって……。

自分たちを認めてほしいって主張で領域を主張するスタイルは、それが対支配者としての立場で主人公的に描かれる作品はいくつも頭に浮かぶんですが、本作は対支配者じゃなくてすでに包摂済みの社会でうまくやってる状態だからこそちょっとセンシティブなところがあるというか、わりとそれを肯定するのって安易にして良いのかっていうところはちょっとだけ考えちゃった。いやムゲンはすごく良い人物像で、あるべきはそのムゲン達より上のレイヤーでもっとフーシーたちのことをちゃんと考えてくれって話ですが……。

魅力的なキャラクター、掛け合いも笑っちゃうようなナイスなものばかり、迫力のあるアクションの連続でめちゃくちゃ質の高い映画でした。それと花澤さんが最近すこし年長者をやるイメージがあるけど本作で小さい元気な男の子をすごくかわいくやってたのうれしかった。めちゃくちゃ面白かったです。

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