『The Battery(スウィング・オブ・ザ・デッド)』をみました。とてもよかった……。
元野球チームメイトの二人が放浪するのはゾンビばかりの世界。人のいない世界で釣りをして、誰もいない家で物資を補充して、キャッチボールをして、果樹園でりんごを投げあって、たまにゾンビに遭遇する。
わたしはホラーやスリラーが本当に全然だめでギャグアニメのホラー回もみれないくらいなんですがこの作品は大丈夫だった。そもそものきっかけは別の映画(『ニッツアイランド』)のなかで上に載せた予告編でも流れる「Anthem For The Already Defeated」が流れたときにこの曲が良すぎる!となり、それが本作にも流れているとあとから知ったという流れです。そのときにみた海外の予告編ではこの曲をヘッドホンで流しながら片手に拳銃、片手にお酒を握ったヒゲの小太り男性(ベン)が熱唱しながら踊っている場面が流れてきて、これは絶対にみるしかないと思ったんだよな。
今作のゾンビは間合いに入っても友人と会話できるくらい動きがスローで、ジャンプスケアもなしの安心設計がうれしい。それでもこの作品が単なるコメディではないのは、基本的に二人しかいない世界の終末感、それは少しだけ語られるこの二人がくぐり抜けてきたトラウマ(ゾンビが発生した当時、数ヶ月にわたって真っ暗な家に閉じ込められていた)だったりが世界観に絶妙に作用しており、この過去のトラウマと必ず行き詰まる将来の合間にある短いモラトリアムのロードムービーになっているからなんだよな。タイプの異なる二人が言い合いをしながらも気づけば楽しそうにキャッチボールをしているのが良すぎる。「放浪中に太れるのはお前くらいだろ」「捕手は太ってなんぼだからね」みたいなね。
終盤の展開も良かった。とある事情から窓を目張りした車内に籠城することになってから延々と続く周囲を囲むゾンビたちの環境音。うめき声と車体を叩く音が常に聞こえるなかで狭い空間に押し込まれた二人のやりとり。そして最後の長回しでは映画をみているわたしも、登場人物も、その車外のゾンビたちの音の奥にもう一人の声を探している時間が続いて映画がうまい……となりながらみていました。おもしろかったです。
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