小市民シリーズ(冬期限定ボンボンショコラ事件)

アニメ『小市民シリーズ』「冬期限定ボンボンショコラ事件」を最後までみた。とてもよかった……。現在のひき逃げ事件の推理と同時に3年前のひき逃げ事件が絡み合うなかで、小鳩くんと小佐内さんの最初の事件、そしておそらく最後の事件が描かれます。わたしがアニメで小市民シリーズをおいかけるなか、この冬期に至るまでいまいちわからなかった小市民を目指すという小鳩くんの動機が、3年前の事件における小鳩くん自身の振る舞いにあることが示される当時の推理描写がされます。そしてその推理のために他人のプライバシーに踏み込んでいくことや、その推理を他者に迂闊に話すことなどが最終話、大晦日の夜中、岐阜市を見下ろす屋上で犯人から糾弾される過程はみていて(いや本当にその通り(犯人の言う通り)なんだよな……)となったところがある。

わたしはミステリ小説を読んでいないのでトンチンカンな感想かもしれませんが、3年前の事件と現在の事件が重なり合う最後の場面、このクライマックスにおいて、過去の事件を踏まえて”事件の解決が望まれていない(あるいは人を不幸にする)”ことが糾弾されつつも、それは3年前の事件が未解決だった場合に、あえて今、それに手を出すことがどういうことかという目線ならそうなると思うんですが、本作においては、その事件はすでに3年前の時点で犯人は逮捕され解決に至っており、だからこそ現時点で3年前の事件を解決するモチベーションは本来存在しないはずだったんだよな。なので事件の真相をあばくことがのぞまれていない、あるいは誰かを不幸にする、というのは、今回の場合においてはなにもなければ小鳩くん個人の内省レベルの問題であったところに、実際は新たに小鳩くん自身が被害者となるひき逃げ事件が発生したことでいわば副次的に過去の真相が、小鳩くん自身が抱えていたその推理をすることに対するトラウマみたいなものの一つが今の時間軸に立ち現れてくるという建付けになっています。これは言い方が良いかわからないんですけど、そうまでして探偵役を救う必要があるのかちょっとわからなかったところがある。いや、別に救われていないか? とはいえだからこそ、最後に小佐内さんがなおこうあることが潔いというかまぶしくて、それを入院ベッドから見上げるような小鳩くん(自身も結局シリーズを通して推理をやめられなかったし、小市民にはなれない)との互恵関係があるんだよな。今作はOP含めた映像がよかったのもそうなんですが、こんなにおもしろいならやっぱり原作を読まなきゃなともなっていて、なりました。

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