天穂のサクナヒメをクリアしました。発売してちょっとしたタイミングで変な話題のなり方をしていて手を出すか迷ったんですが、プレイしてよかった。とても面白かったです。
武神と豊穣神を両親にもつサクナは家の財産を食いつぶしてぐうたらな生活を送っていた。ところがある日、神界に迷い込んだ人間たちを都に侵入させてしまった上に、主神への献上物である米の備蓄をすべて台無しにしてしまうという失態を犯す。罰として鬼が支配するヒノエ島の調査を命じられ、サクナは人間たちとともに泣く泣く島に渡るのであった。はたしてサクナたちの運命やいかに・・・。
ぐうたらな駄目神と人間の共同稲作生活ゲームです。あらすじのとおり、冒頭、島に流された瞬間から食べていくための稲作が始まる。「じゃあ早速ですが田を起こして田植えをしなきゃ!」っていわれても初心者のわたしは40歩×40歩ぐらいある田んぼにフリーハンドで稲を植えるのめちゃくちゃ不安だし(最初は本当にぐしゃぐしゃになる)、水をどれだけ張れば良いのか、肥料はいつどれだけ上げれば良いのか、このあたりの詳細はプレイヤーにも示されないまま作業だけを求められます。(水は足首が浸かるくらい等の指標はある)
この手のゲームっていつものわたしは作業的に最善手を積み重ねるようなプレイをしちゃうんですが、本作では当初は情報が少なすぎるためにそれがやりたくてもできなくて、ただそれが思ったほどストレスじゃないんですよね。不本意な島流しをうけたサクナが、プレイヤー自身がストレスを感じるその寸前でガンガン不平を漏らしてくれるところがすごく効いてる。しかもサクナが人間の年少組と同じ土俵でわーわーやってるもんだから食うや食わずでやってきた人間のギスギスした感じもだいぶ和んでると言うか、上手いバランスで序盤の雰囲気を良くしてくれるんだよな。
稲作についてもダンジョンや交易で手引を入手したり、何年も繰り返すことで自分の中の定石ができたりして、徐々においしいお米ができるようになっていきます。これはプレイヤー視点でも田植え画面にマスが見えたり、ある程度まっすぐ植えられるスキル等も追々習得できる。この『最初は上手くいかないけど徐々に良くなっていく』っていうのをストーリー的にも、キャラ能力的にも、プレイヤーのスキル的にも同時にこなしていくバランスも良かった。朝起きて田んぼの世話をして、足りない肥料等の調達がてら島の鬼を討伐に向かうっていう繰り返しの毎日。特に序盤はあくまで田んぼ(暮らし)があって、その上で島の散策がくる感覚です。そうやってると田んぼや毎晩みんなで一緒に御飯をたべる峠の家に愛着が出てくるんですよね。しかも合間に結構な頻度で挟まるイベントがどれも楽しい。
ゲーム上の家あるいは故郷って、設定はそうであってもうまくゲームプレイの中で思い入れを持てるかどうかってまた別の話じゃないですか。サクナヒメはこんな感じにこの峠の家に対してプレイヤーが思い入れを持ちやすい仕組みにするのがすごくうまいゲームでした。だからこそ、ありきたりなイベントだけどそこから決戦に見送られる瞬間や、あるいは出ていく人たちを見送る瞬間にぐっと来ちゃうんですよね。
そしてこのゲームは稲作をして強くなるゲームなんですが、そこに収穫量、味粘硬、美、香がステータスに関わってくる要素として存在しています。とはいえ普通にクリアするのであれば特段一つにこだわらず全体の質を上げるような農法を取れば足りるところ、トロフィーのような制限があって、例えば米の『粘』を上げるプレイングが求められるわけです。
粘りを上げるには「種籾選別を厳しく、薄撒きで疎植、出穂までは穂肥を多め、出穂後は葉肥を多めにして浅水気味に、収穫は乾いた日照時に行う」といったことを行うわけですが、これが作品内の「農書」に書いてあるのでそれに従って作業をすることになります。これがまあわりと単純作業なんですけど楽しいんだよな。一つ一つやった瞬間に正否が示されるわけではないので感覚でやりながらも出来るだけ農書に寄せていく感じが、いわゆる攻略サイトをみるようなプレイに近いのにそれとは違う手触りというか、1年を経て最終的に狙い通りのお米ができるとうれしい!(この1年がちょうどダレるかダレないかのラインのプレイ時間設定になってるのが肝っぽい)
これは余談ですが、わたしは今作で一番好きなキャラクターがゆい(CV.古賀葵) でした。おとなしくてしっかりしてそうだけど癖のあるタイプですごく良かった。方言もかなりハマっててゆいがしゃべるたびに笑顔になってしまいます……。
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