マルガリーダとアヴェレダ子爵の婚礼の夜。子爵は自らが人間でないことを告白する。それを聞いたマルガリーダは錯乱。厳粛な雰囲気に満ちた貴族たちの晩餐会は、驚愕の事態へと展開する。人間、動物、機械などあらゆる境界を超越し、奇想天外なユーモアが炸裂するオペラ・ブッファ(喜劇的なオペラ)映画の怪作。公式サイト
『カニバイシュ』をみました。オペラ映画。うつくしい宮殿を舞台に貴族たちの恋愛悲劇が描かれています。ただその時代設定や舞台になった国は謎で、冒頭の貴族たちが登場するシーンで、車から降りてくる登場人物たちに対して柵の向こうから現地の人たちが拍手喝采で迎える場面があります。そのときの服装が完全に現代人なんだよな。アディダスみたいなラインも見える。そこで頭にはてなが浮かんだ瞬間に登場するのが、ここから終盤まで、映画をみている我々に事態を説明してくれる語り部とバイオリニストなんだよな。この2人のキャラクターがとてもよくて、なぜかわたしはアニメにこういう登場人物がいるとすごくうれしいんだよな~って思い浮かべながら最初みてた。わたしは最近毎シーズンごと1本くらいあるアニメの宮廷ものが好きすぎる。
本作で描かれるのはほとんどが夜の場面で、そのなかにあるレオノール・シルヴェイラの美しさや、ろうそくの明かりに照らされる室内の装飾、なによりすべてのオペラ歌唱をぼんやりとみているうちに夢心地みたいになって主人公の晩餐会から初夜の場面を終えることになります。そして結婚式の翌朝、明るい時間がやってくる。ここからが本当に常軌を逸していてすごい。たぶんみているひとみんな変な笑顔になってたと思う(わたしもなった)。あれだけきれいにみせてきた悲劇は、そのすべてが吹き飛ばされるようなパワーで世界がめちゃめちゃになり、悪魔は去って大団円(大団円ではない)。死者は立ち上がり、みんなで手を繋いで噴水の周りを踊って周ります。良……。
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