(ネビル・シュート (著), 井上 勇 (翻訳))渚にて

『渚にて』(ネビル・シュート (著), 井上 勇 (翻訳))を読み終わる。

核戦争後、北半球から少しずつ地球全体に放射能が拡がり迫るなか、南半球のメルボルンで過ごす人たちを描いたSF。天国大魔境にも登場してマルくんが読んでいたものです。わたしは数年前にこの本を商店街にあった古い手芸屋さんのガレージセールで買ったままでした。そのときは他にも学習用のドリルとかが売られてた。そのお店も今では若者向けのセレクトショップになっています。

数ヶ月後にはメルボルンにも汚染が広がることがわかっており、そして世界の大部分はすでに終わっていることもわかっており、それでもなお日常を送る人たちがいて、これから先の約束や来年咲くお花の話、農作物、将来の夢、そういうことを消化して折り合っていく日々。少しずつ状況が悪くなる。それでも何もしようがなくてただできるかぎり穏やかに、心を乱さずに過ごそうとすること。あるいは自棄になること。もう来ることのない将来のことを話すのは現実逃避ではなくて、そのために必要なことなんだよなっていう納得感のある描かれ方です。最後の月、最後の週、最後の日、最後の時間、最後の別れ。世界が終わってもこの時間はあったんだよな。

そして、まさにツイッターが終わりかけているようなときに読んでいるわたしとしては完全にいまこのときと重ねてしまってウオオとなってた。わたしがどれだけツイッターに依存しているかはこの日記をいくつか読んでもらえばわかるかと思うんですが、最後にはいつかなくなるとはいえ、それがこんなに急に、唐突に、前触れなくきて、しかもまだ一部手法を使えば不完全ながらツイートもできるしタイムラインも読めるっていう生殺し。わたしはぜんぜん心穏やかではなくて……。

2023年7月2日

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