能登デモクラシー

能登半島の中央に位置する石川県穴水町。人口は7000人を下回り、若者と高齢者の数がともに減りゆく「人口減少の最終段階」に入っている。コンパクトシティを推進する町の中心部から悪路を進んだ限界集落に暮らす元・中学校教師の滝井元之さん。2020年から手書きの新聞「紡ぐ」を発行し、利益誘導型の政策や町の未来に警鐘を鳴らし続けている。穏やかな穴水湾をのぞむこの町の伝統漁法「ボラ待ちやぐら」。我慢強さは町民性ともいえるが、滝井さんはこう記す「何もしなければ、何も変わらない」。石川テレビのクルーは市井からの眼差しにローカルメディアの存在意義を重ねながら、惰性と忖度蔓延る役場と町議会の関係の歪さを浮き彫りにしていく。
2024年1月1日、能登半島地震が発生した。
カメラは思わぬ事態に見舞われた町と人びとの営みをつぶさに見つめる。そして、同年5月に放送されたテレビ版が、穴水に大きな風穴を開けた。「このままでは町がなくなる」。声を寄せ、届け、耳を傾ける。映画は確かな変化の芽吹きを映し出していくのだが――。 公式サイト

『能登デモクラシー』をみました。おもしろかったです。前半は人口減少の続く穴水町で地域新聞を発行している滝井さんを中心に、平均年齢が70歳を超える議会と行政、地域の現状が捉えられています。議員選挙の間延びした雰囲気や議会における一般質問のマンネリ化、それに首長自身の運営する法人に流れる公金に対する無批判といったものに対しては、取材を通じて製作側(石川テレビ)、監督からも終始投げかけられており、本作ではそういった製作側からみた滝井さんの活動や生活といった趣があります。

そして2024年1月の震災が発生し、その後の地域の状況が映される後半では、議会や行政側が被災した地域との距離感というか、姿勢の変化(と言っていいのか、もちろん元から映画に映されていない部分では存在した可能性があるものですが)が描かれています。

本作のなかで、製作側の姿勢というか目的といったものが直接的に語られることはないのでそのあたりは感じ取るしかないんですが、わりと前にでている印象があるものの、最後、作品全体の雰囲気は前向きな気持ちになるものになっています。

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