『ヴァンダの部屋』をみました。よかった……。ペドロ・コスタ監督作。ポルトガルの首都リスボンに暮らすヴァンダの生活を2年間かけて撮影した作品です。
冒頭、小さな部屋の暗がりの中で、アルミ箔を炙り煙草を吸う場面から始まる。室内、路地裏、また室内と狭くて暗い画面が続き、その画面の外からはいつも建物を破壊する工事の音が聞こえてきます。デジタルカメラで撮影したらしい少し粗い画面と、どうやって音を拾っているか謎の音声。この作品はどうも時間の感覚がつかみにくいだけではなくて、場所の感覚というか、部屋を出て街に野菜を売り歩く場面がはさまれたりするものの、このスラム街の位置関係が頭になかなか入りづらくなっています。
終盤、外壁に大きく✗と書かれた建物がショベルカーで破壊される場面からヴァンダの部屋にうつり、そして外壁の一部が残った路地裏の画面へ。この段になって初めて時系列を操作してた(もしかしてこの廃墟がヴァンダの部屋だった?)可能性に思い当たりましたが、それまではただヴァンダとその周辺の登場人物たちの喫煙と、ちょっとした思いやりのあるようなやりとりだけをずっとみていた気がする。ここでいう思いやりというのもそういう言葉にすると大げさに感じるくらいで、例えば思い出話をすることであったり、作品中で始終咳き込んでいるヴァンダに対して誰もなにも言わないような、そういうもの、なにか大きな出来事があるというよりは生活の基底にあるような、頭のどこかで存在を認めているような次元のものぼんやりとしたものがそうやって感じられるだけではある。3時間。長いようなそうでもないような感覚だった。
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