熊は、いない


『熊は、いない』をみました。とても良かった…。

国境付近にある小さな村からリモートで助監督レザに指示を出すパナヒ監督。
偽造パスポートを使って国外逃亡しようとしている男女の姿をドキュメンタリードラマ映画として撮影していたのだ。
さらに滞在先の村では、古いしきたりにより愛し合うことが許されない恋人たちのトラブルに監督自身が巻き込まれていく。
2組の愛し合う男女が迎える、想像を絶する運命とは……。
パナヒの目を通してイランの現状が浮き彫りになっていく。公式サイト

カメラを向けることの暴力性についてはよく目にする話題になった気がしますが、今作でも撮された2組の移されたカップルの人生に大きな影響を与えていきます。トルコ経由で欧州を目指す2人、イランの国境付近の村で古いしきたりに縛られた2人、そして監督自身も国境付近の村に滞在しながら写真を撮り、トルコでの撮影にはリモートで参加をしている、国外へ出られない身。そして映画の中では描かれないが自明のこととして登場するそれぞれの過去、あるいはイランの風習、そして村のしきたりが話題に登場して、映像には映っていないその過去や奥や先を想像させます。カメラに撮されたことでそれが暴かれたのか、あるいはもともとあり、それがそのまま撮されたのか、とにかくそれが最後に結末の事件に繋がったという映画はみていてそれだけの迫力があった。面白かったです。

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