わたしの持っている宮川淳へのイメージ、もちろん著作から受け取るイメージだけですが、この本を読んでいるとそこに吉田喜重の語る大学時代の2人の思い出が重なってくる気持ちになります。というよりもこの大学時代の二人の付き合いとその後の分岐があまりに完成されていてこの思い出の裏張りにあの美術批評があるのでは?ってくらいのものがある、あります。いや、これは著作がぜんぜん読めていないからこういうわかりやすい方に乗ってるだけでしょ?といわれると、はい、そうです……としか答えられないですが……。
思い出話のなかで、宮川淳から吉田喜重に対して直接話法で書かれた箇所がほんのわずかにあって、それがまたぐっと迫るんだよな。その数少ない箇所が「ぼくはこういう小説は嫌いです」「ぼくは好きです」「何故、文学に戻らないの?」の3箇所です。それにしても吉田喜重からみた宮川淳像というか、二人の関係はどれもかなり良い。
いやー、絶対に良くないんですがこれに関しては完全にファン心理みたいになっています。
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