『Milk 1』は主人公が牛乳を買いに行くお使いを見守るゲーム、『Milk 2』は主人公がお使いから帰ってきたあとを描いたビジュアルノベルです。インタビュー
『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』、続編の『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』をプレイしました。どちらも数年前に話題になったものです。それをなぜいまかというと当時はあまりにもわたしの精神状態がきびしくて引きずられそうな気がしたので手を付けられなかったんですが、いまならやれるかもと思ってプレイしたところがある。多分その判断は正しかった。
『Milk 1』①
『Milk 1』②
主人公の視野で世界をみながら、その話相手になりながら、一緒にミルクを買いにいきます。がんばって何かをしようとするのえらすぎるよ……って思いながらやってました。赤と黒だけの視界で、対話がめちゃくちゃで、そんな主人公に対してプレイヤーとしてふるまいながらお買い物をした。
『Milk 2』① 『Milk 2』②
『Milk 2』でも同じく、主人公の話し相手になりながら部屋での時間を過ごします。そして冒頭には『Milk 1』のお買い物の様子を第三者の目で描いたアニメーションが流れます(そしてこの一般的な視野でみられた世界に、主人公のがんばっている姿がうつっている)。
本作はかっこいい構図の背景がいくつもあります。そしてその部屋の背景だけが(部屋の外とは異なり)わりと認識できるレベルに具体的なのは、主人公が数か月かけて部屋中の構成を記憶したからということがわかる(なので物を動かそうとすると怒る)。
部屋中に飛び散った思考の蛍を一緒に探しながら、プレイヤーはPCや鞄、その他あれこれにまつわる過去の出来事を、特に主人公が話したくないことを掘り返していくような対話を投げかけることになります。主人公はシリーズを通じて対話相手のプレイヤーを自分の作り出した架空の存在として認識していて、だからこそこの過去の掘り起こしもセルフセラピーのようになるんですが、実際にこのゲームをプレイして文章を読んでいるわたしはその行為を推奨するように進めていくことになるのが少し心苦しかった。そしてこの構造だからこそこの主人公は、このゲームを通じて自分で自分を追い立てるように本当にがんばっていることが伝わってくるんだよな。とてもよかったです。
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