『りすん』(諏訪 哲史)を読み終わった。ほとんどを入院中の妹と見舞いにくる兄による会話だけで書かれた小説。作中にも”『前作を同じ主題の理論編とすれば、本作は実践編となるべきだ。』”とあるように、前作である『アサッテの人』を引き継ぐような内容があります。
ここで作中にも、としたとおりですが、作品内には前作の作者と思われる人物がいます。本作はほぼ兄妹の会話だけで構成されているものの、同室の隣人が兄妹とは別に存在し、その隣人が小説をものすために二人の会話を録音、書き起こしをしていることが判明してから、小説の作為に絡め取られていくことになる。
文庫版あとがきには2010年に舞台化されたことについて触れられています。本作で著者が向かった問題意識を、演劇に対して闘った作品となっているとのこと。今年7月に行われる舞台でもキャストは変わっているものの数年越しに同様のものが行われるみたいなので楽しみです。
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