「最後にして最初のアイドル」「エヴォリューションがーるす」「暗黒声優」の3作が収録されたSF短編集です。星雲賞受賞のタイミングでめちゃくちゃ話題になっていて買ったんですが、『最後にして最初の人類』(小説)を読んでないことを言い訳に後回しにしていたんですよね。そして先週『最後にして最初の人類』(映画)をみたのでようやく手を付けました。
おもしろかったです。いや、先に触れておきたいのはやっぱり作品の筋があるなかで”アイドル”や”声優”といった単語が規定されていて、これは作品内世界の単語として完結しているとはいえ中々の扱いをされるので、そこは読んでて厳しいところがややあったりもしました。いや多分これは頭ではどうしても自分が好きな分野をベースにした単語がこう扱われるところに、実際の単語と切り離せないところがあって、それはまあそれはそう書かれてるわけだししょうがないという気もします。わたしだってミステリーにあまり気がないからこそ探偵が全員死んでもヘラヘラ笑ってるけど、もちろんそうじゃない人もいるからな(そういう話か?)
解説には表題作をさした作者の語りとして「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」と書かれていますが(何?)、まあ何感ふくめてそういう感じです。収録作だと「暗黒声優」が特に好みでした。めちゃくちゃな宇宙をあっけらかんとした二人組がドタバタ渡り歩くの、わたしの弱点のひとつなんですよね。しかも終盤にわざわざ設定を蒸し返しながら世界観の辻褄を説明するのもご愛嬌というか、そういうつじつま合わせがデーンとお出しされるとにこにこしながらあっ良いね~となってしまうところもある。
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