『鯨の絵巻』(吉村昭)収録の「鯨の絵巻」を読む。数ヶ月前に鯨関連の本、特にノルウェー式に移行したあとの漁に関するものを読んでいたんですが、これは伝統的な網とり漁法の刃刺の生涯を描いたもの。著者の作品は『羆嵐』しか読んだことがなかったんですが、この本もすごく読みやすくて漠然とした漁の流れや文化がすっと入ってきた気がする。今度太地に行く予定を立てていたのでそれに向けて買っていたんですよね。
(追記)
『鯨の絵巻』(吉村昭)を読み終わった。だいぶ前に『羆嵐』を読んでわたしも衝撃を受けていたんですが、とはいえ氏の別作品には触れてきていなかった。ちょうど表題作が太地を舞台にしているということで手にとったものです。その「鯨の絵巻」については先日の日記に書きましたが、それ以外にも、養鯉、鳥の飼育、ハブ、牛蛙捕獲等をして生計を立てる人物を描いた短編集。そんなのあるんだという感じですがとても良かった。
表題作以外はどの作品も社会からどこか一歩外れた人物が一方で生物を相手にする場面が秀逸で、特に「紫色幻想」の中盤まではとても好みでした。田舎で養鯉を続けている老いた男のところに妻と別れた息子が帰ってきて、2人で鯉中心の生活をする辺り。ぎりぎり社会とやるラインがひかれている。よかったです。
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