国宝

 後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。公式サイト

『国宝』をみました。よかった……。歌舞伎の場面にもがんがんに音楽を被せてカメラを切り替えて、歌舞伎舞台をみているというよりも、それを人生に重ねた描写をみている感じなんですが、とにかく「曽根崎心中」の扱い方がめちゃくちゃよかった。大きく2回使われるそのどちらも手が込んでいます。特に一度目で喜久雄と俊介の対比をうまく使ったと思ったら、それでおおよその筋は頭に入っただろうとばかりに二度目には俊介及び喜久雄の今後の人生を想起させるような使い方で出てきたのをみてウオオとなりました。

逆にいうと歌舞伎舞台以外の部分はいまいちのめり込んでみることができなかったところはある。タイトルの『国宝』からして歌舞伎を極めることや人間国宝に至るという筋自体にあまり重きが置かれていなかった印象があります。それよりも舞台に立ち続けるということに眼目があったようにみえたのは、わたしが立身出世やそれに伴う人間関係の描写に関心をもてていなかったからかもしれない。でもおもしろかったです。

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