水の中で

『水の中で』をみました。とてもよかった……。昨年から継続的に実施されている『月刊ホン・サンス』のなかからの一作。予告編冒頭にある通り、全編がピンボケの映像になっています。

リゾート地を訪れ、映画制作を始める3人。「ここが一番いい」「いいですね」みたいなぱらぱらとしたやりとりを交わしながら島を歩きつつも発起人である主人公は明確な方針が定まらず、ぼんやりとした雰囲気の時間が流れています。映画を取ろうと思ったきっかけを後輩に聞かれた主人公の「名誉のためだよ」というわかるようなわからないような答えや、深夜に聞こえたという「しっかりしろ!」という謎の大声。タイトルやピンボケした画面のとおり、どっちつかずで境界のぼやけた状態が収められているんですが、どこか多幸感があって心地よいんだよな。それはピンボケの度合いが場面によって絶妙に調整されていて視聴のストレスがしっかりケアされているのもひとつですが、これはホン・サンス作品にはいつも存在するものだと思うんですが、3人のどこかズレた(前半はやや三角関係になりそうな雰囲気を匂わせる)ようでありながら、お互いを信頼、リスペクトしていることが伝わってくる距離感がとても良い。あと海沿いのリゾート地(熱海)を舞台にしながらぼんやりした失われるだろう幸せな時間を残した映画として、昨年みた『Super Happy Forever』を少し思い出しました(内容はぜんぜん違う)。

これは『水の中で』のあらすじとは全然関係ないんですが、わたしは映画やアニメの水中の視界がはっきりしすぎてることがずっと気になっていて、もしかしてわたしだけ水中視力が悪いのかもって大学生にもなって検索してたことあった。そのときは「いや、全員水中では目を開けてもほとんどぼやけて見えないらしい」と結論づけたんですが実際どうなんですかね。そしてその後、湯浅監督の『夜明け告げるルーのうた』でふにゃふにゃした水中シーン(めちゃよい)みてウオオ!ってなったことがあります。

あとこれは完全に余談ですが、作中字幕で「いいね」が”チョワ”、「いいですね」が”チョワヨ〜”でした。

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