とてもよかった……。少し前の映画で存在は知っていたんですが、音楽をテーマにしたもので、それもある程度好きな界隈に近いものが映画になってるっていうのは(なぜか)抵抗感が少しあったりしたところがある、あります。なのでアマゾンプライムに入っているのになかなか手を出せずにいたんですが、ちょうど再上映をしていたのでみてみたらそういう思うところもないとても良い映画でした。みなさんもアマゾンプライムでいつかみるぞっていう映画が再上映していたら映画館に行ったほうが良いですよ。配信で映画をみるのめちゃくちゃハードル高いので(わたしだけですか?)。
70年代のバンドはあまり触れてこなかったので劇中に登場するバンド(Rudi, Outcasts, Undertones…)はいずれも音源を持っていないんですが曲や名前は聴いたことがあるし特に「Teenage Kicks」なんかは今手元のライブラリを検索するだけでもずらっとカバーされてるんですよね。ドイツのNoise Annoysのものとか好き。このNoise Annoysは劇中冒頭に出てくるBuzzcocksの曲名からとられた名前で云々…とか延々と話ができる気がします。夜は短し歩けよ乙女の中だったか、古本市で本と本のあいだの繋がりを海に例える場面があったかと思いますが同じことなんですよね。
それで劇中に出てくるジョン・ピールおじさんは有名どころの音源をしらべてるとたまに名前の出てくるラジオDJなんですが(あとピールセッションっていうライブ演奏音源が良いです)、以前こんなの絶対売れないでしょっていう、A面にママ・ミア!のダサいか癖になるかのかなりギリギリなカバーを突っ込んだレコードを買ったので調べていたらそれもジョン・ピール氏が紹介しててひっくり返ったことがありました。Röövel Ööbikっていうエストニアのバンドなんですが、このシングルが出たのが1990年で、ジョン・ピールがラジオで流したのも1990年、エストニアのソ連から独立が1991年っていう、そういうのを映画の中でUndertonesのTeenage Kicksがジョン・ピールのラジオで流れるシーンをみて思い出しました。
今ラジオの放送日を検索していたらラジオのファンサイトがありました。そこから引用した放送時のRöövel Ööbikについての紹介です。(DeepL翻訳)
“I got a letter from a band in Estonia and now this came about as a consequence of my doing a programme once a fortnight that is heard in Finland, it sort of bleeds over across the Baltic into Estonia and one or two people listen there. This band wrote to say that they enjoyed the programme a great deal, been much influenced by the work of the Fall and had got a band together themselves and they sent me a demo tape, which was fairly appalling quality, unbroadcastable no question about that. I kept in touch with them as best I could.”
「エストニアのバンドから手紙をもらったんだけど、これは僕が2週間に一度、フィンランドで聴かれる番組を作った結果、バルト海を渡ってエストニアに流れ込み、そこで1人か2人が聴くようになったんだ。このバンドは、番組をとても楽しんでいて、フォールの作品にとても影響を受け、自分たちもバンドを組んだと書いてきて、デモテープを送ってきたのですが、かなりひどい品質で、間違いなく放送できないものでした。私は彼らとできる限り連絡を取り続けました。(https://peel.fandom.com/wiki/R%C3%B6%C3%B6vel_%C3%96%C3%B6bik)
映画で一番良かったのはエピローグで、テリーのレーベルが運営を停止しては再開、また停止して再開、さらに停止して再開、っていうのを数年おきにやっていることが伝わってきたのがとても良かったです。お金の話とか政治の話とかは一定映画向けの見せ方になってると思うんですが、それとしてレーベル活動を間欠的に続けているっていう事自体が映画のメッセージとして大事な気がする。
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