古井由吉の著作を順に追いながらその変遷(継続)を読み解いていく内容です。一作ずつに割かれる紙面は必ずしも多いわけではないんですが、一方でそもそも一作ずつを字面から追うものでもないよなという感じは特に古井由吉作品に関してはわかる気がします。対談も二篇収録されています。
ほんとうは時間を書くことは、おのずと空間を書くことで、空間を書くことは、要するに時間を書くことであるはずなんです。ところが、私たちは、時間にも、空間にも飢えていながら、時間を書こうとすると、とかくそこから空間がなくなってしまう。空間を書くと、丁寧にやればやるほど、時間がなくなる。きれいな言い方をすると、永遠の相を書きとめちゃうんですよ。(中略)もうちょっと、時間と空間が相即するような書き方はないものか。そう思ったとき、やはりエッセイか、日記に近いようなもので辛抱するに如くはない、となった。(古井由吉×富岡幸一郎 対談)
ここから文語の文章(時間)と今の自身の時間を引き合わせていく、今の口語文でどこまで迫れるかという話をしていてとてもおもしろかったです。
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