EUREKAをみました。めちゃくちゃ良かった。青山真治が亡くなられ、今年のはじめに一度追悼上映がされていたときにはうまくいけなかったんですが、今回みに行けて本当によかった。
ある九州の田舎町で、バスジャック事件が発生した。生き残った運転手の沢井(役所広司)と直樹・梢の兄妹(宮﨑将・宮﨑あおい)は、心に大きな傷を負ってしまう。それから2年が過ぎ、町に戻った沢井は、2人きりで暮らす兄妹とともに暮らし始める。そこに従兄の秋彦(斉藤陽一郎)も加わり、4人の奇妙な家族生活が始まった。
そんな中、彼らの周辺でまたも殺人事件が続発する。沢井は小さなバスを買い、喧騒の町をぬけて4人でゆくあてもない旅に出るのだが…。cinefil
バスジャック事件後、「2年後」のテロップが入って役所広司演じる沢井が帰ってくるあの自然なつながりなんだよな。映画の時間、家族間での時間としては断絶しているんですが、沢井自身が変化をしながら一人の人物として帰ってきたことを田舎の家族のなかで描くのがすごくうまかった気がする。大人でもなく子どもでもなく、それにいわゆるモラトリアムの大学生でもない沢井が、その家庭に戻ってきたあの家での暮らしと、また家出をしてからの兄妹の家での暮らし。そのどちらも、丁寧に描くというよりバシっときめた画面でみせてくるタイプなんですが、どうにも役所広司のあのとらえどころのなさ、あるいは自分の身の置所のなさがめちゃくちゃうまく描かれていてすごいとなってしまった。その2つの生活の描写から続いて新しいバス、これで旅行に行こうってみんなででかけるんですよね。
個人的に印象的なのは、暗い留置所で周りを囲う檻の外から徐々にカメラが寄ってきて、檻の枠が画面から消えた後に外から聞こえてくる壁を叩く合図に気づくシーン。咳き込みながら壁から聞こえるトントンっていうノック音に同じく壁をトントンと叩いて応える文意のない交信。わたしのTwitterのイメージってこれだなとぼやぼや思ってたら終盤めちゃくちゃ重要なモチーフででてきてウオッとなりました。発話じゃない、ただ在るということのめちゃくちゃ端的な表現なんですけどこれがすごくよくて、何か単純な話なんですけど一人暮らしをしているからか、こういう素朴な交信の見せ方がぐっと来てしまうんだよな。ラストシーンの旋回して上昇していく視点のカメラは最近だとドローンだろうけどこのときはラジコンなのかなとかちょっと頭の脇で考えていました。めちゃくちゃ良かったです。
コメントを残す