エリ・エリ・レマ・サバクタニ


『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』をみました。今回の上映は音響機材を最大限に調整したboid sound上映ということで、映画冒頭の打ち寄せる波のシーンからでかい音がきます。ひざにかけたコートがびりびりするくらい。そんな音響のなかで、掃除機のパイプを振り回す音、ギターをかき鳴らす音、机のうえにあるものを叩く音、波の轟音、そういったものを録音するシーンがどれも楽しそうで、この映画の背景である病による不本意な自殺者の蔓延という世界観からは浮かび上がって見える。もちろんみていくと全然そんなことはなくて、この轟音に包まれているかどうかの違いだけなんだよな。最後の「好きなだけいていいのよ、どうせ客なんて来やしないんだから」ってセリフをうけたハナ(宮崎あおい)の気持ちの晴れやかさを思うととても良いセリフだなと思いました。どうしてもこの作品の設定と今の自分の状況を重ねてしまうんですが、この不安や絶望感みたいなものがぜんぶ杞憂だったらっていう気持ちと、ノイズ音楽をうまく絡めた映画でみてよかったです。最後にスタッフロールをみていて、浅野忠信、宮崎あおい、…筒井康隆(!?)、中原昌也(!??)ってなってました。風貌を知らないからこういうことがある。
そしてこれは完全に余談ですが、わたしは労役の時間外でだれもすれ違わないような時間帯になると長くて暗い廊下で目を閉じて何歩あるけるかを挑戦していた時期があるんですが、それが何度やっても13歩を越えることができなかったんですね。10歩目あたりから何かにぶつかったりしそうで歩幅が狭くなって前に足が出なくなってくる。この映画でも目隠しをして歩くシーンがあって、それを思い出しながら11歩、12歩、13歩…20歩…って数えてしまいました。

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