エル・スール

『エル・スール』をみました。現在『瞳をとじて』が上映されているエリセ監督の特集で、ミツバチのささやきの次に再上映されているものです。良かった。これを言うとそれはそうでしょとしかならないんですが、『瞳をとじて』って言われているとおり、かなり監督作のテーマを総括した作品だったんだなって思いながらみてた。この作品が経済的な理由から本来監督の想定していた構成にできなかったという話も読んだことがあったので余計にその感じを受けるのかもしれない。満席で、隣の席のおじいさんは序盤から爆睡してた。それにしても、本作終盤のホテルでランチを食べる場面はめちゃくちゃに良かったな。少しだけ大人になった主人公が寡黙な父の過去の謎に一歩踏み込むシーン。少しだけ大人になったからこそ一瞬忘れていた、主人公自身の父との思い出。

スペイン語でなされる会話の中で、「ポコ・ア・ポコ」って聞こえてきて、どうも訳文も「少しずつ」みたいなニュアンスらしい。確かイタリア語だった気がする。小さい頃、ピアノ教室に通っていた一瞬の時期に覚えた単語でまだ頭に残っているものの一つで、これが急に聞き取れない会話の中で登場してからおっとなりました。あとは「俺は狂っている」のセリフに「ロコ」って入っていたのは、アニメ『ヨルムンガンド』の主人公の一人ココの名前にかけたかっこいいBGMに登場するあれだって気付いた。何か感想がうまくでてこないし、知識のまったくない言語のセリフに集中して訳文をちゃんと読んでいないときって逆に映画に集中していないのかもしれない。そうか?そういば、主人公にアタックをしている(姿は一度も映らない)男の名前も一度だけセリフに登場して、それがミゲルじゃなかった?『瞳をとじて』の主人公と同じ名前の。そういう些細なところばかりに注意が行ってしまった。あまりよくないことです。

この映画館ではロビーでパンフレットの古本を販売していて、先日同監督の『ミツバチのささやき』をみたときに、同じくエリセ監督作の『マルメロの陽光』のパンフレットが置いてあったことを思い出した。そのときはみたことない映画だったので買わなかったけど、やっぱり買っちゃおってパンフレットの詰め込まれた箱をのぞいたらもう売れちゃっていた。ちゃんとこの箱を漁っている人いるんだ。

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