《映画》をつくっているのは誰?監督、脚本家、プロデューサー、カメラマンや、演技する俳優たち。いや、それだけじゃない。チームの力がものをいう映画づくりの現場には、縁の下の力持ちと呼ぶべき大勢のスタッフたちがいる。そして彼らを突き動かすのは、仕事へのプライド?映画への愛情?もちろんそれもあるだろう。しかし絶対に欠かせないものがある。食事だ!
『映画の朝ごはん』は、映像業界に知らぬ者のいない伝説のお弁当屋さん「ポパイ」にフォーカスした異色のドキュメンタリー。おにぎり二個、おかず一品と沢庵。そんな超シンプルなお弁当は、ロケ撮影の定番の朝ごはんとして熱烈な支持者を持つ。そして現場を円滑に進めるべくあらゆる雑事をこなす「制作部」の面々は、日々「ポパイ」に発注し、さらには昼ごはんと晩ごはんを手配しながら、ときに混沌とする撮影現場に活力をもたらしてきた。
本作は、もっともプリミティブな原動力=食に携わる人びとの奮闘を通じて、観客を普段目にすることのない《ものづくり》の最前線に連れ出してくれる。時代とともに変わる業界の姿、突然襲ったコロナ禍の影響。しかし現場では日々ごはんを食べ、最高のシーンを撮ろうとそれぞれの持ち場で全力を尽くす、その営みは続いていく。
日本映画史の貴重な裏話や、食べることへの並々ならぬこだわりについて証言するのは、黒沢清、樋口真嗣、瀬々敬久、山下敦弘、沖田修一ら第一線の現役監督と、映画に人生を捧げてきたスタッフたち。そこにはスクリーンには写らない、なんとも微笑ましく、映画の見方すら変えてくれる大きな物語が広がっている。公式サイト
映像業界で利用され続けている弁当屋「ポパイ」の仕事と、そのお弁当も受け取って現場でお茶から食事、その他諸々を扱う制作部の2つの場面が交互に紹介される。映画がどのように撮られているか、そのなかで食事がどのように摂られているか、その食事をつくっている会社のなかはどうやってなりたっているのか、そんなことをつなげた映像業界を朝ごはんの観点から切り取ったドキュメンタリー。
知らない世界の仕事と知らない世界の仕事それぞれの事情というかルールと言うか、そういう場面が続くので知識として単純に面白かったな。出てくるみんなが朝ごはんの話をしている。一部、あえてドキュメンタリーさを失くした演出も、制作部側のメイン登場人物がもともと演出部で助監督をやっていたことから広げた部分かと思う。なんというか、映像制作の楽しさやつらさをマイルドにお弁当ごしに気軽にのぞきみたような楽しさがありました。
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