(稲田一声 (著), 坂永雄一 (著), 春眠 蛙 (著), 千葉 集 (著), 暴力と破滅の運び手 (著))《ドンキー・アーカイヴ》vol.1: 男たちと、その傷

『《ドンキー・アーカイヴ》vol.1: 男たちと、その傷』(稲田一声 (著), 坂永雄一 (著), 春眠 蛙 (著), 千葉 集 (著), 暴力と破滅の運び手 (著))を読んだ。面白かった……。

収録作で特に好みだったのは「ブラッドブラザーズ」(千葉 集)です。家族小説。冒頭から何か起こっているようで静かに、少し崩れかけた家族関係の日常の一幕。スプラッタホラー風味があるんですが、怖がらせるための文章ではないのでわたしでも楽しく読める。顔の見えない(小説に顔の見えないとかあるか?と言われるとそうですが、そうとしか言いようがない)母親の描写が絶妙で、ぎりぎりの均衡がある。こういう短編が好きなのってわたしが道満晴明の短編が好きなのと根っこは同じ気がするんだよな。

あとこれはここ数日のわたしの関心からのメモですが、本作にも漢詩が登場します。李白の『蜀道難』から「錦城雖云樂 不如早還家」の部分。朱書きされた習字がそのまま設定に組み込まれている。

巻末の執筆者紹介で、

今回のは年末年始に観た『フォルス・ポジティブ』と『ヘルレイザー』と『トーク・トゥ・ミー』がそのまま反映されています。実質A24ホラーです。

『《ドンキー・アーカイヴ》vol.1: 男たちと、その傷』巻末

って書かれていて、1つ目と3つ目は当時上映しているのは知ってたけど怖そうだからやめとこ……って断念した作品で、2つ目は今度上映がかかるけど怖そうだからやめとこ……って断念している作品なのでふふっとなってしまった。いや、何を笑っているんですか?という話ですが、怖がって本編を観ていないわたしが、当時別のA24作品をみていたときに劇場予告編で流れていたこれらの断片的な情報を、すごくうまく並べるとこの作品になるのかもしれないっていうのが何となくわかるような、わからないようななんだよな。それとこれらが文章だったらとても楽しく読めた可能性があるということだから(そうか?)

2024年4月14日

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