『ドンキー・アーカイヴ 第2回配本』、どれも面白かった。特に「夏を知らない蝶たちは」(暴力と破滅の運び手)は小さい頃の夏の不思議体験を描いたものなんですが、その冒頭の場面、夜の山からヤギの背に荷物を積んだ主人公が降りてくるところから感じる不穏さを、すーっと最後まですこしずつ引きながら、その出し引きの加減が絶妙だった。ちなみに「蝶の翅には心臓がある」ことを用いたエピソードが出てきてそうなんだって思いながら読んでいたんですが、いま検索したらその話題についての記事がありました。
あとは『競作:「稲」「田」「一」「声」』に収録の「スティーボ・オーバークランクのクリスマス・スペシャル」。これはこの本にも収録されている「ニューサウスウェールズの怒れるネズミ」の登場人物に関する作品で、稲田一声氏の創元SF短編賞受賞記念企画として、参加者4名がお題に対して匿名で短編を書いたもののひとつです。原作のハッピーな終わりを引き継ぐような内容で、Vtuber的な配信のやりとりが軽快で楽しい作品だった。そしてそのなかでピクサー映画に関する話題が登場して、参加者のお一人のブログでこれまでにピクサーを話題にしてるのを何度も読んでたので、この文中の評価は……どっちだ?ってメタ読みする場面あった(おもしろかったです)。
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