ヒトラーのための虐殺会議

『ヒトラーのための虐殺会議』をみました。議事録をもとにヴァンゼー会議を描いた90分。国家保安本部、軍、官僚たちのやりとりを、それぞれの立場、探り合いを表情やセリフに込めていて、その画面の切り返しも気持ち良いのでひたすら会議の内容を描いているのにあっという間に終わってしまった感じがあります。実際の90分の会議はだいたい怠いですからね。それはそれとして国内予告編、国内タイトルともにあまりよくない(ダサい)と思いますが……。

題材が題材だけになかなか感想が難しいところがあるんですが、あくまでナチスの視点から、同時に内務省、法務省等、それぞれの立場で物を申していく場面、サロンでのやりとり、それに合間合間に挟まれる個人的なそれぞれの付き合いなんかが妙にビジネスの場ということを意識させててうまいなとなりました。つまりわたしは労で開催されているめちゃくちゃな数の会議のことを思い浮かべながらみてしまったというところがある。

冒頭、会議が始まる前に各座席に資料を並べる用意、途中に差し込む情報、急に変なことを話し出す偉い人と怪訝な顔をする人、後ろについて歩く場面、ウワーとなります。ヴァンゼー会議に至るまでやそれ以降のもっと階位が下のレベルでの調整を想像させられる。最後、会議が「それでは今後、調整等あれば担当者レベルで、わたしの所属へ連絡下さい」で終わるところとか。この映画はそういう肌感覚でヴァンゼー会議を描いている不気味さというかいやな感じがうまい。

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