Clininal Trial

とてもよかった……。公式サイトにあるとおり、精神治療薬の治験に参加した患者と医療提供者の関係について描いたゲームです。

週に一度顔を合わせることになった主人公と職員（リー）のやりとりから始まる。施設の中にBGMは流れておらず、ホワイトノイズが心地よい。困難を抱える主人公とそれに応えるリーの端的で真面目な回答が繰り返されることで安心感が湧いてきます。それは治験っていう状況設定で起こり得る悪い可能性だったり、主人公の置かれた状況そのものだったりを解決するものではないんですが、この少しずつずれながら繰り返される反復の心地よさがこのゲーム前半の手触りでした。

まずテキストが良いし、それを日本語に翻訳された手腕の優れ（すぐれ）でもあります。そして各テキストでふれられていた内容がちゃんと作品後半に深くつながっているところがすごい。こうやってわたしが気づくくらいに、流れた瞬間にちょっとした違和感を感じさせるくらいには浮き上がっていて、それを気に留めさせないバランス感が（わたしにとって）絶妙だった。

この施設はホワイトノイズが印象的なんですが音楽が流れる場面もいくつかあって、その流れ出しのタイミングがめちゃくちゃ良いことも補記しておきます。おすすめです。