画家のジャックは、ある夜、ポンヌフで思い詰めた表情をしている美しい女性マルトに出会う。翌晩、お互いの素性を語り合うジャックとマルト。ジャックは孤独な青年で、理想の女性との出会いを夢見ていた。一方のマルトは恋した相手に「結婚できる身分になったら一年後に会おう」と去られていた。そして今日がちょうどその一年後。マルトに熱い気持ちを抱きながらも、彼と出会えるよう献身するジャック。だが三夜目になっても男は現れず、マルトの心もジャックに惹かれ始めていた。そして運命の第四夜……。 公式サイト
とてもよかった……。ドストエフスキー原作の『白夜』ブレッソン版です。はじめてみました。
話には聞いたことのある、セーヌ河をゆったりと遊覧船が流れてくる場面の光と音楽には劇中のふたりと同じようにわたしも目を奪われました。その前後に近くを通る若者が鳴らす強烈な口笛の音が挿入されているんですが、劇中のふたりはそのどちらにも反応せずただ船に釘付けになっていて、そこから生まれる幻想感が、遊覧船に流れる演奏音楽が実際に二人まで聞こえているのかというのを飛び越えてあの時間を特別なものにしている。あとジャック役のギヨーム・デ・フォレは、作家ルイ=ルネ・デ・フォレの息子とのことです。「おしゃべり」(おもしろい本です)を書いた人だ。
原作は確か高校生の頃、ウェルベックとかと同じ紙面でなにかのZINEに紹介されていたのをきっかけに手にとったはずで、こんな思春期ど真ん中の本が100年以上前のロシアで書かれてたんだってまだインターネットにどっぷり浸かる前の状態で素朴に驚いてた覚えがあります。芋づる式に思い出したんですがこの頃にバンドのZINEを読んでいると大学生の人たちが音源とは別に本や漫画をたくさん紹介していて、それきっかけで触れたものがたくさんありました。志村貴子や衿沢 世衣子作品に触れ始めたのも同じZINEからだった気がする。そういうこともある。
コメントを残す