NYでストリップダンサーをしながら暮らす“アニー”ことアノーラは、職場のクラブでロシア人の御曹司、イヴァンと出会う。彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5千ドルで“契約彼女”になったアニー。パーティーにショッピング、贅沢三昧の日々を過ごした二人は休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚!幸せ絶頂の二人だったが、息子が娼婦と結婚したと噂を聞いたロシアの両親は猛反対。結婚を阻止すべく、屈強な男たちを息子の邸宅へと送り込む。ほどなくして、イヴァンの両親がロシアから到着。空から舞い降りてきた厳しい現実を前に、アニーの物語の第二章が幕を開ける。公式サイト
アノーラ、めちゃくちゃよかった……。しばらく前から映画館でずっと流れていた予告編があまり刺さらなくて結局みていなかったんですが、さすがにみるかってふらっと来たらかなりおもしろかったです。すみませんでした。
アノーラとイヴァンが結婚する前半とイヴァンを探し回る後半の大きく2パートあって、特に後半がすごい。その前半では二人が出会ってすぐの頃にイヴァンがベッドサイドで服を脱ぐ場面の、上から順番にバタバタ脱いで最後にそのまま後転してベッドに転がり込むところが何かすごく好きで、その他のゲームをやっているシーンや放蕩シーン以上に憎めないクソガキ感があってよかった。ここでかなり掴まれた気がする。
後半は両親の差し金でイヴァンを追いかける3人組とアノーラが出会うところから、そのまま終盤までフルスロットルです。どの場面も常に3人以上話をしている人がいて、そのうち2人かそれ以上(全員)は必ずでかい声でまくし立ててる状態が好きすぎる。パニックです。
予告編をみたときはもっと社会vsアノーラみたいな感じの映画かと思っていたんですがぜんぜんそんなことはなく、アノーラも追いかけている3人組も全員が怒って、困って、浪費されているんだよな。それがイヴァン不在のなかで延々と続くんですが、ずっとみていたくなるくらい楽しい。この映画の真骨頂はここです。話の内容とは別にやりとりが楽しすぎるだけでずっと笑顔になってしまった。
それで最後、全部が終わった夜に、3人組の一人と二人きりの場面で「昨日が俺の誕生日だったんだ」っていうシーンでスイッチが切り替わる。ついさっきまで続いていたあの馬鹿騒ぎが全部過去の、人生のいちエピソードになる瞬間が映っています。翌朝の雪の降る狭い車内で向き合いながら、徐々に背景の車窓が雪で埋もれて視覚的にも外から密室になっていく長回しのシーンは、ぜったいこの背景の窓って雪に埋もれるでしょってみんな思いながらみているし、本当にそうなっていくんですが、あのパニックの続いた展開との落差を正面から押し切るような、この逆に振り切った白々しさがよいぜ。
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