急に具合が悪くなる

『急に具合が悪くなる』をみました。とてもよかった……。パリにある介護施設でディレクターを務めながら施設内でのより良い介護を追求するマリー=ルーと、演劇の演出家で末期がん患者である真理の出会いと交流を描いた作品です。理想の介護と人員不足の現実、そして病気というそれぞれの闘う(打開策の見えない)現実を濱口監督作品ならではのダイアローグの積み重ねのなかでほぐしながら、登場人物たちの少しずつの変化が常にどこか希望を感じさせる。

本作は介護施設で用いられる「ユマニチュード」という手法のように、特にその登場人物たちのあいだの接触を前提とした交流が何度も繰り返されるんですが、映画のなかで自分たちやその周囲の変化が持続し続けるような状況を生み出しているのが何か大きなイベントではなく、ただひたすらそういった交流の積み重ねというのが、終盤になるにつれてわたしにかなり刺さってしまい、レクリエーションで利用者と職員が裸足で庭を歩いている場面あたりからふいに涙が出てきたりしました。マリー=ルーが職員会議のなかで「一緒に変わっていきたい」と言葉にして言ったところも本当によかった。こういう言葉をしっかりと地に足をつけて提示できる映画ってすごいと思う。

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