阿賀に生きる


『阿賀に生きる』をみた。とても良かった……。

新潟県の大河である阿賀野川。監督を始めとする7人のスタッフがその川筋に住み込み、そこに暮らす人々を3年間にわたって撮影した。
山間の鹿瀬(かのせ)町に住む長谷川芳男・ミヤエさん夫婦は先祖代々田んぼを守り続けている。阿賀野川に浮かぶ舟の大半―200隻以上の川舟を造った大工・遠藤武さんとそれを見守る妻ミキさん、名人と呼ばれる餅つき職人・加藤作二さんとその妻キソさんら3組の夫婦の日常をカメラが追い続ける。
長谷川さん夫婦は雨の日も稲を刈る。元船頭の帆苅周弥さんが阿賀野川に吹く風の話を語る。その帆苅さんが会長を務める「水俣病患者の会」の活動。鹿瀬町の夏祭り。長谷川さんがかつて行っていた鮭漁の自慢話。囲炉裏を囲んでの酒宴。季節の川魚や山の幸を前に、唄を歌い酔いどれ話しに花が咲く。舟作りをやめて5年もたつ遠藤さんの仕事場。新潟水俣病の裁判史上はじめて、労働者の立場から水銀垂れ流しの実態を証言した江花豊栄さんの話。やがて遠藤さんははじめて弟子を取って川舟造りを教えるようになり、また天正川の漁師たちが、長谷川さんの鉤釣り漁を再び行うという、夢の実現を手伝ってくれる。
そしてまた春、長谷川さん夫婦は田植えの準備を始める。公式サイト

わたしはこの映画について、水俣病に関する映画を(助監督として)撮ったあとに新潟水俣病の舞台でドキュメンタリーを撮ったというところだけ知ってみたんですが、実際に映画としてまとめられているのは阿賀野での老人の暮らしだった。冒頭からナレーションが入り、被写体側からスタッフ側への声掛けもあり、距離感が近い。映画の中の時間でも、引退した船大工の方が5年後しに弟子をとってまた船をつくる展開や、鈎漁を再開する方が出てくるなど、日々の生活における転機のようなものが撮影されています。これは、インタビューでなかなか目当ての話を聞き出せない中で、日常をとることに振り切った結果のものだと少し前に映画館のかたのお話で聞いたことがあった。その一方で風景をゆっくりと撮る場面がいくつか挿入されていて、それも同じくらい印象的なんだよな。船大工の方がつくった川船が、川に浮かんで静かに揺れている場面とか。

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