aftersun/アフターサン

思春期真っただ中、11歳のソフィー(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。
輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。
20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。公式サイト

 

やさしい父と気遣いのできる娘のバケーション、楽しい毎日に、楽しいときに撮られるビデオ映像。でもその撮られていない時間もこの映画には映っていて、その場面の端々から父の姿がわたしの身に迫って見えてくる。「30歳まで生きてるなんて思ってなかった。」「40歳なんて想像もできない」という発言や、どこか子どもじみたというか、いや30歳ってそういうくらいの年齢なんだろうなっていうところ、大学生のモラトリアムとは違う責任と重圧と諸々があって、ある。それを端々に描くのがうまい。

この映画はその父の部分の描き方が巧みだったのがまず1つなんですが、それを父と同じ年齢になった娘がそのビデオ映像から、そこには楽しい場面しか映されていないんですが、そこからそのときの楽しかった気持ちと、年を経てそのとき父の思っていたことは何だったのかという想像、その後に起きた(描かれていない)出来事を理解しようとしていることが少しだけ描かれていて、それによってこのひと夏のバケーションの一つ一つの場面がいわゆる映画のひと場面ではなくて、娘にとっての人生の一部であり、父にとっての一部であり、それはお互いに知り得ない気持ちが裏にはあって、でもそれを知ろうとすることがラストのダンスシーンでカタルシスを迎えておりうおおとなりました。

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