青くて、物悲しいノルウェーの長い夏。パステルカラーに包まれた港町の丘をゆっくりと登って振り返るアスタ。新聞社に勤める彼女は、地元のホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材し、ニュースにする。彼女の支えとなるガールフレンドのライヴは、デザインチェアを修復し、キーボードを演奏し作曲をする。子猫が歩きまわる家で、料理を作ったり、古い映画を観たり、ボードゲームを楽しんだりと二人は穏やかな時間を過ごす。ある日、アスタは10年間ノルウェーに住み、働いてきた難民のアスランが強制送還されるという記事を目にする。その事件を調べて行くにつれ、アスタは自身を覆っていた無気力感を払拭し、仕事とプライベートの両方で自分が求める”心の居場所”を次第に見出していく…。公式サイト
『ヒューマン・ポジション』をみました。よかった……。ため息と欠伸の合間のような気分で描かれるノルウェーの美しい港町の暮らし。天気はだいたい曇りか雨で、主人公はいつもどこか焦点がふわふわしているようなぼんやりとした目線ですが、それでも陰鬱ではない、毎日の食事やボードゲームや同居人との会話が繰り返されています。予告編にあるとおり、あらゆる場面において主人公たち以外のひとけはなく、壁、扉、棚、溝、階段等々あらゆるものによって画面を縦横の線が区切っていて、形式的に繰り返されるこれらがみていて息苦しさや飽きにつながるかもと思いきや、それが街というか生活自体の距離感というか、そういうものと何か親密な感じがでてくるんだよな。そして最後、少しだけ主人公が自分の価値観というか思いを確認して少し目線が晴れやかになってきたとき、外から夕陽の入る部屋のうつくしさなんですよね。同居人と2人で一つの椅子に収まって静止する、その奥には飼い猫が餌をたべている動きが見えて、外からきれいな日差しが入っている場面がとてもよかったです。
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