(ハン・ガン (著), 斎藤真理子 (翻訳))すべての、白いものたちの

しろいイメージが全体に漂う、ぼんやりとやわらかい散文のような文章。具体的な映像が浮かぶようでありながらどこかとりこぼしのあるようなエピソードがならび、その第2章を読み終わるころ読んでいるその視点がきゅっとする瞬間があって、そのまま少しページを戻ってよみなおしたりした。作品のつくりによって生まれた余白のゆらぎが充実している感じがある。そして頭の中に文章とその文字とは別の感覚がある不思議な読み心地があります。おもしろさとは別にまれに発生することがある、この文章を読みたくなる感覚がとてもよかった。

今、いかなる答えも保留にしたままで、彼女は歩いている。殺風景でもあり美しくもある、この半分凍った沼を抜け出していく。 『すべての、白いものたちの』138頁

2026年1月10日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA