映画

フォーチュンクッキー

『フォーチュンクッキー 』をみました。よかった……。アフガニスタンからアメリカにやってきて、フォーチュンクッキーの工場ではたらくドニヤ。クッキーに幸運の短文メッセージを折り込む仕事を終えた夜中、扉の外で煙草を吸う隣人の音に気がついて、外へ出…

書かれた顔

虚構と現実をないまぜにした幻想的な作品を得意とするシュミットは、女形という特異な存在を通して、ジェンダー、生と死、そしてフィクションとドキュメンタリーの境界線上に、虚構としての日本の伝統的女性像を浮かびあがらせる。「鷺娘」「大蛇」「積恋雪関…

国宝

 後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束…

トレンケ・ラウケン

アルゼンチンの片田舎トレンケ・ラウケンで、ひとりの植物学者の女性ラウラが姿を消す。取り残された二人の男たち―恋人のラファエル、同僚のエセキエル―は、彼女を追って町や平原をさまよう。彼女はなぜいなくなったのか。この土地には何が眠っているのか。…

我来たり、我見たり、我勝利せり

起業家として億万長者に成り上がり、幸福で充実した人生を送るマイナート家。一家の長であるアモンは、家族思いで趣味の狩りに情熱を注いでいる。ただ、アモンが狩るのは動物ではない。莫大な富を抱えた一家は“何”だって狩ることが許されるのだ。アモンは“…

アブラハム渓谷

フローベール「ボヴァリー夫人」をアグスティーナ・ベッサ=ルイスが翻案し、原作を執筆。言葉、映像、そして音楽それぞれが自律しながら精妙かつ鮮烈に調和する「文芸映画」の最高峰。男性的な世界/権力に詩的な想像力で抵抗する、主人公エマの苦悩。ディレ…

能登デモクラシー

能登半島の中央に位置する石川県穴水町。人口は7000人を下回り、若者と高齢者の数がともに減りゆく「人口減少の最終段階」に入っている。コンパクトシティを推進する町の中心部から悪路を進んだ限界集落に暮らす元・中学校教師の滝井元之さん。2020年…

メイデン

カイルとコルトンは、カルガリーの郊外に住む高校生。親友同士のふたりは住宅地をスケートボードで駆け抜けたり、渓谷で水遊びに興じたりと、気の向くままに日々を過ごしている。夏休みが終わりに近づいたある夜、立入禁止区域の鉄道の線路に侵入したカイルに…

カニバイシュ

マルガリーダとアヴェレダ子爵の婚礼の夜。子爵は自らが人間でないことを告白する。それを聞いたマルガリーダは錯乱。厳粛な雰囲気に満ちた貴族たちの晩餐会は、驚愕の事態へと展開する。人間、動物、機械などあらゆる境界を超越し、奇想天外なユーモアが炸裂…

ヒューマン・ポジション

青くて、物悲しいノルウェーの長い夏。パステルカラーに包まれた港町の丘をゆっくりと登って振り返るアスタ。新聞社に勤める彼女は、地元のホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材し、ニュース…

訪問、あるいは記憶、そして告白

1942年に建てられて以来、およそ40年間オリヴェイラが暮らしたポルトの家を舞台に、家族、そして自らの人生を辿るドキュメンタリー作品。『アブラハム渓谷』の原作者でもあるポルトガル文学の巨匠アグスティーナ・ベッサ=ルイスがテキストを手がけてい…

新世紀ロマンティクス

新世紀を迎えた2001年。長江・三峡ダム建設のため、百万を超える人々が移住を余儀なくされた2006年。目覚ましい経済発展を遂げた2022年……。チャオは大同(ダートン)を出て戻らぬ恋人ビンを探して奉節(フォンジエ)を訪ね、ビンは仕事を求めて…